MSAP向けシード層エッチング液

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伝送損失を低減する平滑な回路形成へ対応
MSAP向け銅シードエッチング液
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シード層エッチング

 セミアディティブプロセス(SAP)、モディファイドセミアディティブプロセス(MSAP)による回路形成において、ドライフィルム剥離を行った後の基板には銅シード層が残存します。このシード層をエッチングすることで、絶縁された独立回路が形成されます。現在は硫酸-過酸化水素系のエッチング液が主流ですが、過酸化水素による薬液安定性、異種金属や塩素混入によるエッチング速度制御、銅パターンの保護性能で課題が残っています。また、接続信頼性を向上させるためのアンダーカットの低減や、伝送損失を低減する為の回路表面の平滑性が強く求められるようになってきました。 

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導体の伝送損失

 伝送損失は、絶縁層の誘電率に関わる誘電体損失と、導体の平滑性に関わる導体損失の足し合わせで表されます。このうち、導体損失は、表皮効果により信号の周波数の影響を大きく受けます。表皮効果とは、高周波になるほど電気信号が導体表面を通る現象です。導体表面に凹凸があると、経路が長くなり伝送による損失が大きくなります。そのため、導体損失を小さくするには、回路表面が平滑であることが求められます。 

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過酸化水素系エッチング液の課題

 従来より、MSAP工法でシード層エッチング液として用いられている硫酸ー過酸化水素系のエッチング液は、回路上にピットが発生しやすいという課題があります。これにより、回路面の平滑性が低く、伝送損失が大きくなる懸念があります。また、基材と回路界面に薬液が染み込み、アンダーカットが発生する場合があります。

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銅シード層エッチング液 Melstrip SE-400

 そこで、エッチングに過酸化水素を使用せず、平滑なエッチング面を実現するエッチング液を開発しました。鉄を酸化剤とする銅シード層エッチング液 Meltstriip SE-400は以下の特長を持ちます。

  • ・MSAPの銅箔シード層に対応した銅シード層エッチング液です
  • ・エッチング後、矩形の銅配線が得られます。
  • ・オーバーエッチングでも矩形は維持されます
  • ・エッチング後の銅表面は平滑です
  • ・鉄系のエッチング液の為、自己分解がなく、休止後の対応・液管理が容易です

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エッチング後の平滑性

 エッチングによる表面粗さの変化を測定しました。硫酸-過酸化水素エッチング液ではエッチングによって表面粗さが増大しましたが、SE-400を使用することで、エッチング後も平滑な銅表面を維持することが可能でした。

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SE-400の適用例

 MASP工法による回路形成に適応した例を示します。Meltstrip SE-400では、回路表面のの平滑性を保つだけでなく、矩形かつアンダーカットのない回路形状を実現します。

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